こども発達支援ホームいわしろ

【療育⑧】呼吸援助抱っこ

呼吸援助抱っこはさまざまな取り組みの中で最もオリジナルなとりくみです。

呼吸援助抱っこは長年のさまざまな取り組みの体験からあみだしたとりくみです。
この呼吸援助抱っこによって、たくさんの子供達を救うことができました。
現在も呼吸援助抱っこの恵みにあずからせたくて、呼吸援助抱っこのとりくみをしています。呼吸援助抱っこは呼吸が深くなるように誘導する抱っこです。

子供は呼吸をしているのに、なにを今さら呼吸を深くする必要があるの?と不思議に思われることでしょうが、乳幼児の行動は呼吸と深く関係しています。

たとえば、生れて数ヵ月間の「オギャーオギャー」と音声を出す行動は、たくさん息を吐いたりたくさん息を吸うことによって出るものです。多動といって激しく動き廻る行動は、呼吸が浅くなることによって出るものです。動き廻れば呼吸が深くなるからです。
アイコンタクトをとるという行動は、深い呼吸ができて呼吸のコンディションが良い時に出る行動です。

このように<乳幼児の行動は呼吸と深く関係しているので呼吸援助抱っこのとりくみが必要なのです。発達が順調にいかない子供にアプローチする方法として呼吸援助抱っこにまさる方法はないことを確信しています。
呼吸援助抱っこは0才児にも2才児にも5才児にもさっととりくめるという便利性があります。

●呼吸援助抱っこの成立ち

呼吸援助抱っこについて理解をしていただくには、呼吸援助抱っこの成立ちを知っていただくことが必要であると考えて、呼吸援助抱っこの成立ちを説明いたします。

昭和48年頃より自閉症児との出会いが始まり、昭和の50年代よりたくさんの自閉症児が通所してくるようになりました。自閉症児は他の障害の子供とは違っていました。
最たる違いは指導者が関わろうとすると、関わりから逃げようとすることです。
たとえば、他の子供は指導者が抱っこをすると、身体を密着させて甘えてきます。
ところが、抱っこをしようとすると、自閉症児は抱き手の膝を椅子代わりにして抱き手に背中を向けてこしかけます。抱きしめようとすると、抱き手の膝からサッと逃げていきます。又目を合わせようとすると、目を合わせることをさけようとします。これでは子供に届く指導ができるわけがありません。

また、自閉症児は単独で行動していて人と関わろうとしません。単独で好き勝手に行動します。ましてや「はしゃぎ反応」などの嬉しい笑いはみられません。
子供なら喜ぶはずのハンモック遊びや子供をおみこしに乗せてワッショイと歩きまわるお祭りごっこをしてもはしゃぎ反応が出ません。

こうした子供達の姿を見て抱っこが大好きになって欲しい、視線が会うようになってほしい、はしゃぎ反応がでるようになって欲しいという私の思いはつのるばかりでした。

ところで、私は障害児教育と並行して赤ちゃんの発達について考察を進めていました。
順調に育つ赤ちゃんは新生児期より抱き手の顔をみつめたり、3ヵ月頃にはイナイイナイバーを見るとはしゃぎ反応を出したり、抱っこが大好きで母親を見れば抱っこして―と甘えます。
そこで、こうした行動はどうして出るようになるかについて考察をすすめたところ、こうした行動には呼吸が関与していることが追究できました。

赤ちゃんが抱き手の顔をみつめるのは、呼吸のコンディションが良好な時です。
はしゃぎ反応は深い腹式呼吸ができるようになることで出ます。抱っこが大好きになるのは、抱っこされると呼吸がしやすくなるからです。
赤ちゃんが「オギャーオギャー」の音声を出した時に抱っこをすると、音声が納まるのは、抱っこには呼吸を援助する働きがあるからであることがわかりました。

呼吸援助抱っこはさまざまな取り組みの中で最もオリジナルなとりくみです。
呼吸援助抱っこは長年のさまざまな取り組みの体験からあみだしたとりくみです。
この呼吸援助抱っこによって、たくさんの子供達を救うことができました。
現在も呼吸援助抱っこの恵みにあずからせたくて、呼吸援助抱っこのとりくみをしています。呼吸援助抱っこは呼吸が深くなるように誘導する抱っこです。
子供は呼吸をしているのに、なにを今さら呼吸を深くする必要があるの?と不思議に思われることでしょうが、乳幼児の行動は呼吸と深く関係しています。
 たとえば、生れて数ヵ月間の「オギャーオギャー」と音声を出す行動は、たくさん息を吐いたりたくさん息を吸うことによって出るものです。多動といって激しく動き廻る行動は、呼吸が浅くなることによって出るものです。動き廻れば呼吸が深くなるからです。
アイコンタクトをとるという行動は、深い呼吸ができて呼吸のコンディションが良い時に出る行動です。
このように<乳幼児の行動は呼吸と深く関係しているので呼吸援助抱っこのとりくみが必要なのです。発達が順調にいかない子供にアプローチする方法として呼吸援助抱っこにまさる方法はないことを確信しています。
呼吸援助抱っこは0才児にも2才児にも5才児にもさっととりくめるという便利性があります。


 
●呼吸援助抱っこの仕方

呼吸援助抱っこの仕方は一口でいえば、縦抱き胸密着抱っこです。胸密着が特徴です。

具体的に説明すると次のようになります。
抱き手は正座をして、子供を対面させて、膝の上に両足をまたがせて座らせます。
次に子供の両腕を抱き手の脇の下をとおして、背中にまわらせます。
抱き手は片腕を子供の背中にまわして、抱き手の胸と子供の胸とを密着させます。
更に、もう一方の腕を子供の腰に当てて、抱き手の腹と子供の腹と密着させます。
ポイントは抱き手の胸と腹と、子供の胸と腹を密着させることです。

この密着抱っこをすると、必ず子供に激しく抵抗が起ります。
子供は抱っこから逃れようとして泣いたり、暴れたり、噛んだり、失禁したりといろいろな手を使って抵抗します。

それでも、抱き手は毅然として密着抱っこを続けます。どんなに抵抗しても、個人差はありますが30~50分位抱っこをつづけていると、抵抗は必ず納まり、和解が起ります。
和解すると抱き手には子供が深い腹式呼吸をしていることが、腹に伝わってきます。この深い腹式呼吸が起るように誘導するのが呼吸援助抱っこなのです。

深い腹式呼吸になると必ず和解が起ります。和解に入ると、先ほどまでの抵抗がうそのように、子供の方から自分の体を抱き手の体に密着させてくるようになります。

呼吸援助抱っこは、密着だっこであるために、接触嫌いな子供にとっては大嫌いな抱っこです。激しい抵抗が起って当然です。
抱き手も子供も大変なエネルギーを使います。1才の子供でもどこからこんな力が出るのかと思うほどに抵抗します。
しかし、抵抗が激しければ激しいほど、呼吸援助抱っこの恵みがもたらされます。

【呼吸援助抱っこのとりくみの成果】

●アイコンタクトが出る

呼吸援助抱っこのとりくみで最たる難題は、強い抵抗が出ることです。
もともと自閉症児は五感の一つである触覚に問題があるために、抱っこという手段で
子供の世界にいどむことは難しいということは理解していたつもりでしたが、いざとりくんでみると想像していた以上に大変でした。

抱っこをすると抱っこから逃れようと必死の抵抗を出してくるからです。
つまり、自閉症児は接触嫌いのために密着した抱っこから逃れようと抵抗するのです。

大声を上げたり、暴れたり、時には失禁したり、かみついたりして、なんとしてでも抱っこからのがれようとするのです。それでも抱き手が抵抗を受けとめて抱っこを続けていると、抱き手に子供のお腹がペッタンペッタンと動いていることが伝わってくる時がきます。お腹のペッタンペッタンは子供が深い腹式呼吸になったことの証しです。深い腹式呼吸ができるようになると和解が起ります。

先刻までの大暴れがうその様に子供は抱き手に体をゆだねてきます。子供の表情はとても穏やかでまるで赤ちゃんのようです。更にそのおだやかな表情で抱き手をみつめてくるようになります。新生児期の赤ちゃんが「オギャーオギャー」の音声を出した後に、抱き手をじーっと見つめてくるのと同じことが起こるのです。

あれほど目を合わせることをさけていたのに子供の方から目を合わせてくるようになるのです。つまり、新生児のようなアイコンタクトをとるようになるのです。

それでは、目を合わせてくるようになると子供に何が起こるのでしょうか?
それは人を受けいれることです。自閉症児の最たる問題は人を受け入れることが難しいことです。この難問題解決のいと口を呼吸援助抱っこのとりくみによってつかむことができました。

●0才代のたどりなおしが出る

呼吸援助抱っこを半年~1年とつづけていると、子供に0才代の発達過程のたどりなおしが出ます。発達が順調にいかない子供は、0才代にたどるべき発達過程をたどらないで2~3才になります。子供は0才代に発達の土台づくりをします。
順調に育つ子供はたどるべき発達過程をたどって2~3才になります。

ところが、発達が順調にいかない子供は、たどるべき発達過程をたどることが難しいので、土台づくりでつまずきます。これでは発達が順調にいくわけがありません。

子供は0才代の発達過程をたどりなおすことによって発達の土台をつくるのです。
世間では下の子が生まれると、子供が甘えるようになったり、赤ちゃんのようなふるまいがでることを赤ちゃん返りと称しますが、たどりなおしは赤ちゃん返りと性質を異にします。しかし、赤ちゃんのようなふるまいが出ることは同じです。たどりなおしが始まると、赤ちゃんになりきったふるまいを次から次へと出してきます。

では、どんなふるまいが出るのでしょうか。
「オギャーオギャー」と泣いたり、オッパイを飲みたがったり、乳房をさわりたがったり、頻繁に抱っこをもとめたり、這い這いをしたり、後追いをしたり、おんぶを求めたり、ヨチヨチ歩きをしたりします。
たどりなおしが始まると「これは大変また心配ごとが増えた」と親はなげかれますが、たどりなおしは必要なものです。
赤ちゃんになりきったふるまいを出した時の対応が大事です。子供のたどりなおしを応援することです。

子供が赤ちゃんのように「オギャーオギャー」と泣いた時は、抱っこをして「ヨシヨシ」となぐさめたり、オッパイを飲みたがった時にはオッパイを飲ませたり、乳房をさわらせたりします。
這い這いをした時には「ここまでおいで」と手をさしだしたり、後追いをした時には、「お母さんはそばにいますよ安心してね」と言って抱っこをしたりします。おんぶを求めた時には、おんぶをして子守歌を歌ってあげたりします。
ヨチヨチ歩いた時には,「あんよ上手」と拍手して励ましてあげます。こうした適切な対応は、子供を満足させて、たどりなおしの期間を縮めます。

たどりなおしが出ている時の子供の表情と言えば、赤ちゃんのようなあどけない表情で、思わず頬ずりしたくなります。
たどりなおしへの対応は、子供と親との距離をちぢめます。

ある母親は,「たどりなおしが出る度に、ひとつ又ひとつと自閉の殻が壊れていくように感じました」と話されました。

●こだわりが消える

自閉症児の特徴のひとつに、こだわりがあります。たとえば、道順ですが、子供には目的地に至るまでの道順が決められていて、その道順を変えて車を走らせると、暴れます。食べ物でも、子供は食べられる食品を限定していて、それ以外の食品はガンとして受けつけません。又、洋服ですが、子供は自分がこれと決めた洋服のみを着たがり、それ以外の洋服は着ようとしません。親は毎日こだわりにおつきあいをしなければならないので大変です。親は子供のこだわりに折れて、道順を変えることにためらったり、食事のメニューを考えるのに苦心したり、洋服の選択にちゅうちょするようになります。

ある母親は「子供のこだわりはおかしいと思いつつ、子供がパニックになることを恐れて、つきあっていますが、そのおつき合いにへとへとです」と言われました。

さて、こうしたこだわりの対処方法はというと、世間の一般的な指導は「焦らず、ゆっくりと見守りましょう」です。

ところが、呼吸援助抱っこを1年2年とつづけていると、こだわりがひとつ又ひとつと消えていきます。気がついたら今日は道順を変えたのに、以前の様にあばれなかった、カレーの中に入れた嫌いなピーマンを食べた、好みの洋服を洗濯しても怒らなかったなどということが起こります。呼吸援助抱っこのとりくみによって、こだわりから解放されることで子供に落ち着きが出ます。

●特異な行動が改善される

自閉症児には特異な行動が見られます。たとえば、一人でヘラヘラ笑いつづけたり、ブツブツとひとりごとを言ったり、衝動的に走り出したり、奇声を上げたりなどです。
こうした特異な行動は自閉症によるものととらえられていますが、呼吸という視点から考えると、実はこうした行動は、呼吸をととのえるために出る行動なのです。

呼吸が浅くなると、子供は多目に息を吐いて多目に息を吸うことをして呼吸をととのえますが、その時にへらへら笑いや、ブツブツと言ったりなどのひとりごとが出るのです。つまり、こうした特異な行動は呼吸をととのえるための自助努力がもたらす行動なのです。赤ちゃんがお語りをしたり、微笑の表情を出すことと同じことなのです。

自閉症児は人が接近したり、大勢の中に身をおくと緊張して息をつめてしまいます。
そこで、特異な行動が出るのです。呼吸が浅くなるのですから自閉症児が人との関わりを避けようとするのも無理からぬことです。

ところが、呼吸援助抱っこによって深い腹式呼吸ができるようになるにつれて、こうした特異な行動が改善されていきます。
外観ではわからないことですが、自閉症児が浅い呼吸で苦しんでいることに思いをよせてあげたいものです。

●愛着を育む

呼吸援助抱っこをつづけていると愛着が育ってきます。
たとえば、台所で仕事をしている母親の周りをウロウロと歩きまわったり、トイレに行くとトイレのドアのところで待機するようになったり、「ママ・ママ」と声をかけてくるようになったりします。
買い物につれていっても、母親のそばから離れなくなったり、買い物のお手伝いをするようになります。また、子供の方からママ抱っこを求めてくるようになったり、散歩の時に子供の方から手をつないでくるようになったりします。このような行動は愛着が育まれることによって出るものです。

では、どうして呼吸援助抱っこのとりくみによって愛着が育まれるのでしょうか?
それは呼吸援助抱っこには和解があるからです。和解した時の子供の状態はというと深い腹式呼吸ができるようになることで心身共に快のコンディションとなります。
子供にとって体験したことのない快のコンディションです。
この快のコンディションをとおして子供は人との触れ合いの心地よさを学びます。
くり返し触れ合いの心地よさを体験することで人を慕う気持が育ちます。そして、人を慕う気持は月日を経て愛着へと成長します。

ところで、呼吸援助抱っこに真剣にとりくまれた母親が、次のような話をされました。
抱っこをしている時、子供(4才)がある日のこと、不意に「僕はママの子供ではない、僕は僕だけの子供なんだ」と叫びました。

私はこの言葉に大変なショックを受けました。この子は今まで一人ぼっちで生きてきたんだと胸がしめつけられる思いになりました。
母親の話を聞いた時、私は子供のことばは自閉症児の何たるかを語っていると思いました。本当に自閉症児は一人ぼっちなのです。
私はたくさんの自閉症児との取り組みから、一人ぼっちの世界にとびこむ術は呼吸援助抱っこ以外にないことを実感しています。

では、母親は呼吸援助抱っこについて、どのような思いを持っておられるのでしょうか。
その感想文を記します。
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呼吸援助抱っこは苦しいものでしたが、最後は必ず和解に至りました。
抱っこには子供がどんなに暴れても必ず和解があることがわかると、抱っこをすることのためらいが消えていきました。

我が子を赤ちゃんに戻す呼吸援助抱っこのとりくみは、幾重にも閉ざされていた心の扉をひとつ又ひとつと時間をかけて開いていくためのカギとなったと思います。
我が子を呼吸援助抱っこによって赤ちゃんに戻すと、喃語のようなかわいらしい声をあげたり、手足をバタバタさせてはしゃぐ姿のかわいらしさに感動しました。

また、おいでおいでと呼ぶと、ヨタヨタと歩いたり、這い這いをしたりして近づいてくる可愛らしい姿をどんどん出してきました。まさに0才代の赤ちゃんそっくりの姿でした。その姿を見た時、我が子はこんなに可愛らしかったのかと思いながら夢中になってあやしていました。毎日とりくんで2年ぐらいたった頃、息子を抱っこしても嫌がって、逃げたりする抵抗がだんだんと少なくなりました。

むしろ私の胸に自ら抱きついてきたり、布団の中で抱っこされながら眠るようになりました。それから日に日に息子との距離が縮まって、「ママ大好き」と言ってよってくるようになりました。私がそばから離れると、私を探し求めてきては、ママ抱っこして―と近づいてくるようになりました。
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では、子供は呼吸援助抱っこをどのように受けとめているのでしょうか?
ある母親が小学校に進級して3年生になった時、子供が次のようなことを話したと手紙で知らせて下さいました。
「ママ いわしろに通っていた時、ママは毎日ボクをだっこしたね、ママ抱っこってどんなに苦しいかわかる?深い海の底に沈んだ時のように息苦しいんだよ。逃げ出したくてもがいたけど、ママが抱っこをつづけたので僕はすごくあばれたね、あばれたこと今でも覚えているよ。でもママが抱っこしてくれたので、あれ以来ママが大好きになったんだよ」という文面でした。

この文面より呼吸援助抱っこは抵抗がつきものであること,和解に至るまで抱っこをしてくれた人を好きになり、愛着をよせるようになることがわかります。

手紙の子供は3才で入所してきました。3才から呼吸援助抱っこのとりくみを始めました。3才になってからでも呼吸援助抱っこのとりくみは、、愛着を育みます。
愛着を育むカギとなるのが「みつめる目」です。呼吸援助抱っこでの和解の時、子供にアイコンタクトがでることです。

●感覚障害から脱皮させる

自閉症は感覚障害と言われています。確かに、自閉症児とおつきあいをすると、感覚障害であることを実感させられる行動を目にします。たとえば、視覚では視線を合わせようとしません。聴覚では人の音声を聞きとっているかどうか確認しにくいです。
大声で名前を呼んでもふり向かなかったり、花火の大きい音や祭りの太鼓の音におびえたり、扇風機や洗濯機などの機械音がすると耳をふさいだりします。

味覚では偏食がひどく、食べる物は数点で好みの味が決まっています。
刺激の強い味を嫌がったり、反対に好んだりします。

臭覚ではガソリンやアンモニアなどの刺激の強い臭いを求めます。食品の臭いにも敏感で、食べ物の臭いをかぎます。

触覚では触感が鋭くて、新しい服を着なかったり、砂をすくって指の間からサラサラと砂がすべり落ちる感触を楽しみます。また人との接触を嫌がります。

このような特異な行動を出す自閉症児に対して、呼吸援助抱っこのとりくみを1年2年とつづけていると、子供がだんだんと呼吸援助抱っこを受け入れるようなります。うけいれるようになるにつれて、特異な行動が消えていきます。

つまり、感覚障害からの脱皮です。

視覚では子供の方から視線を合わせてくるようになったり、子供の目をみつめた時、視線をそらさなくなったりします。

聴覚では話し手を見つめながら話しに耳を傾けるようになります。花火の音や祭り太鼓の音が平気で聞けるようになったり、扇風機の前に座って風に当たったり、洗濯機の音も気にならなくなります。

臭覚では臭いの強い食品(人参、タマネギ、ピーマンなど)の臭いに対する拒否反応が出なくなります。

味覚では食べられる食品が増えて、偏食が改善されていきます。嫌がって口にしなかった食品を自ら進んで食べるようになる姿には驚かされます。

触覚ではいろいろな洋服を着ることがスムースに受け入れるようになります。更に接触嫌いがとれて呼吸援助抱っこのような密着抱っこを受け入れられるようになり、自ら抱っこを求めるようになります。

私は呼吸援助抱っこは接触嫌いの克服を目的としてとりくみましたが、子供達の変容ぶりから呼吸援助抱っこは、感覚障害からの脱皮をもたらすことを実感します。
子供は感覚障害をかかえたまま生活してきていたのですから、それまでの生活がどんなに生きずらいことだっただろうと推察します。

とかく外面的な問題行動に目がいきがちですが、子供の内面に思いをよせてあげたいものです。
このように呼吸援助抱っこをつづけていると、感覚に起因する特異な行動が改善されていきます。では、こうした変容は何によってもたらされるのでしょうか?

それは、0才代の発達の道すじをたどりなおすことにあると考えます。
感覚器官の機能に0才代のたどりなおしが起ることでノーマルな働きをするようになると考えます。

ところで、たどりなおしはなにによってもたらされるのでしょうか?
それは呼吸援助抱っこです。つまり1~2年と呼吸援助抱っこを続けることによって深い腹式呼吸ができるようになると、たどりななおしが出ます。ということは深い腹式呼吸が感覚のノーマルな働きをもたらすということです。

このことは深い腹式呼吸ができるようになると、人の顔をみつめるようになる行動から推察できます。視覚以外の感覚においても同様なことが起こるのです。
その結果、自閉症児の特異な行動がだんだんと消えていくのです。

さて、赤ちゃんは心身共に未熟で生まれるので子宮外胎児ともいわれています。
それぞれの感覚器官はととのっていても感覚器官の機能の発達は、生後にゆだねられて生まれてくるからです。

私は長年にわたる呼吸援助抱っこのとりくみから、感覚器官の機能の発達は、深い腹式呼吸によってもたらされることを確信しました。

赤ちゃんは生まれて数ヵ月間(0~3ヵ月位)は、呼吸器官の機能が未熟であるためにしっかりと呼吸ができません。
でも、こうした時期に感覚は活動をし始めています。感覚器官の機能を順調に発達させるためには、どうしても呼吸を援助するために抱っこが必要なのです。

ということは、感覚障害を克服する方法は、一にも二にも呼吸援助抱っこがベストであるということです。

所長より

私は60年余り幼児の障害児教育に携わってきました。

 

さまざまな障害児の療育に取り組みながら、乳幼児の発達について考察、問題に対する適切な対処の仕方を現場での実践を通じて学んできました。

 

目が合わない、話しかけても反応しない、何かのきっかけでパニックを起こす等は自閉傾向のサインです。

 

赤ちゃんの発達について悩まれたらお気軽にご相談ください。

 

「アイコンタクト子育て支援研究所にじのわ」では、子育て全般に関する相談を行っています。

 

発達障害や自閉傾向のお子さんの療育・相談は「こども発達支援ホームいわしろ」で受付けています。

 

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