冒頭にていわしろの指導の目標は、みつめる目と人から学ぶ目を育てることであることを述べました。なぜなら、人をみつめたり、人から学ぶことなくして成長はありえないからです。
さて、いわしろに通い出して数ヵ月たつと、子供に変化が起ります。
たとえば、多動の子供がおちついて、着席して学習するようになったり、指導に従って手遊び歌やダンスなどをするようになります。
こうした姿を見て、親達は「もっと早く通所すればよかった。対応の仕方があるのですね」と話されます。子供に変化がでるようになるのは、呼吸援助抱っこや認知学習やリズム遊び等のとりくみによって、指導者をみつめたり、人から学ぶことができるようになるからです。
現在の「いわしろ」のとりくみは、60年余りの指導体験からあみだしたものでユニークです。とりくみの三本柱は、呼吸援助抱っこと認知学習とリズム遊びです。
たくさんのさまざまな障害児との出会いがありました。なかでも多かったのは自閉症児です。
自閉症児へのとりくみからわかったことは、自閉症児の発達をにぎるカギは、人との内面的な関わりをもつことと、人から学ぶことができることの2点にあることです。
人と内面的な関わりが社会性を育て、人から学ぶことで知恵が育ちます。
自閉症児は人との内面的な関わりをもつことと、人から学ぶことが難しいために、自分がつくりだしたこだわりに固執したり、多動であったり、認知面の発達やことばの発達が遅れたり、社会性が遅れたりするのです。
いわしろでは、これらの問題を解決するために、どのようなとりくみをしているかというと、人との内面的な関わりを育てるために呼吸援助抱っこのとりくみをしました。このとりくみは前述しているように、望外な成果を出しました。
また、人から学ぶことを習得させるために、認知学習やリズム遊びのとりくみをしました。その結果、子供に秘められていた認知能力を引き出すことができて、更に認知能力を向上させることができました。
また、手指は微細な動きができるようになり、模倣力も育てることができました。
こうした成果は、子供の日常生活にもみられるようになりました。
気がつくと身辺動作を自らするようになったり、遊びに変化がみられるようになったり、お手伝いをしたがるようになっています。子供自らが普段の生活の中で様々な事柄を学ぶようになるのです。
ではこうした自閉症スペクトラムに対するとりくみは、自閉症スペクトラムのみに限定したものかというと、そうではありません。発達が順調にいかない子供にも適用できます。それはすべての子供に発達のプログラムが備えられているからです。
子供は発達のプログラムに従って発達するのです。
子供が変わっていき、成長していく姿を見ると、子供にはすばらしい力が秘められていることを実感します。
秘められている力を引き出して、発達を支援することが大人の責務であると考えます。
もし問題が出たら、その道の専門家の協力を得ましょう。
子供には未来があります。未来に向かって一歩ふみだしましょう。
「いわしろ」は、微力ながらお子さんの力になりたいと願っています。
お気軽に「いわしろ」の門を叩いてください。