『アイコンタクト子育て』とは

5.みつめる目が発達をバックアップする

①社会性の発達

みつめる目という視点からあなたの行動を考えてみて下さい。本を読むことができるのはどうしてだと思いますか?文字をみつめるから本が読めるのです。

掃除機をかける場合、きれいにかけることができるのは床を見つめながらかけるからです。洋服を選ぶ場合、好みの洋服を選ぶことができるのは洋服を見つめて選択するからです。このようにさまざまな行動のバックにはみつめる目が働いています。

では赤ちゃんの場合はどうでしょうか?もちろん赤ちゃんの場合もさまざまな行動のバックには、みつめる目が働いています。ではどんな働きでしょうか?

それは赤ちゃんの心身の発達をバックアップすることです。ご存知のように赤ちゃんは心身共に未熟で生れてきます。しかし、赤ちゃんには未熟な心身が発達を図るための発達のプログラムが備えられています。

みつめる目が発達のプログラムの開花をバックアップするのです。

これからみつめる目がどのように発達をバックアップしているかについて社会性の発達と手の発達とことばの発達の分野にしぼって述べます。

 

①社会性の発達

外面的と内面的な関わ

社会性の発達というと大きなテーマのように思われることでしょうが、平たく言えば、人との関わりのことです。
では赤ちゃんには人との関わりがいつからどのようにして始まるのでしょうか?
赤ちゃんは自力で生きていくことが出来ないので人のお世話をうけます。

即ち、この人(主に母親)のお世話を受けなければ生きられないという宿命が人との関わりを起します。たとえば、オッパイを飲ませてもらったり、おむつをかえてもらったり、抱っこをしてもらったりしてとさまざまなお世話を受けます。
こうしたお世話は赤ちゃんに人との関わりをもたらします。従って人との関わりは生まれた時から始まります。

ところで人との関わりには外面的な関わりと内面的な関わりがあります。
たとえば、友人と会食をする場合、一緒に食事をするということは外面的な関わりです。
しかし、うちとけた会話をして互いに相手を受け入れることが起こると、そこに内面的な関わりが生じます。

それでは赤ちゃんの場合はどうでしょうか?
たとえば、オッパイを飲む場合、オッパイを飲むことで母親と外面的な関わりが起ります。
では内面的な関わりは?というとオッパイを飲み終わって母親をみつめることによって起こります。みつめる目が内面的な関わりにスイッチをいれるからです。なぜならみつめる目は人を受け入れる窓口だからです。

赤ちゃんの時だけでなく、将来にわたってみつめる目は、人を受け入れる窓口として機能します。
人との関わりにおいて内面的な関わりが起ることで、社会性の発達がスタートします。それでは内面的な関わりはどのように進むのでしょうか?月齢を追って述べます。

0ヵ月  抱き手の顔をみつめる

赤ちゃんは頻繁に抱っこをされます。一日に10回位はオッパイを飲んだり、度々「オギャーオギャー」の音声を出すので、そのつど抱っこをされます。
抱っこをされている時、赤ちゃんは抱き手の顔をみつめます。

1ヵ月 みつめる目で人を受け入れる

0ヵ月頃にはぼんやりとしか見えなかった抱き手の顔が1ヵ月になると焦点が合うようになるので抱き手の顔がかなり、はっきりとみえるようになります。
そこでみつめる目で抱き手を受け入れることが起こります。

2ヵ月 みつめながら微笑んだり声を出す

しっかりと見えるようになるので、抱き手の顔がはっきりとみえるようになります。抱き手をうけいれるお仕事が深まります。人の顔をみつめながら「アーウー」と声を出したり、ニコッと微笑んだりします。天使の微笑のような笑顔です。
赤ちゃんが微笑んだり声を出すのは、じーっと見つめることで呼吸が浅くなるからです。
そこで呼吸をととのえるために多目に息を吐きます。その時に微笑や「アーウー」の音声がでます。どんなに赤ちゃんが息を凝らしてみつめているかが推察できます。
このじーっと見つめる目が赤ちゃんに内面的な人との関わりをもたらします。

3ヵ月 イナイイナイバーを見てはしゃぐ

人との関わりを受け入れることができたことを証する行動がでます。
それはあやすとはしゃぐことです。母親が「イナイイナイバー」をすると、それを見て「アハハハハ」と声を出してはしゃぐようになります。
このはしゃぎ反応は赤ちゃんがあやしてくれる人をしっかりと見つめて、あやしてくれる人を受け入れることによって出るものです。つまり、内面的な関わりが起ることによって出るものです。
こうしたことから、イナイイナイバーをした時に出るはしゃぎ反応の様子によって、赤ちゃんの人との関わり具合が判断できることがわかります。

ところで赤ちゃんによって「アハハハハ」の音声に違いがあります。みつめる目に力がはいっていれば「アハハハハ」の音声は大きくなります。
つまり、はしゃぎ反応の様子から、アイコンタクトの育ちや赤ちゃんの人との関わり具合が順調でであるかどうかの推察ができるのです。
はしゃぎ反応がしっかり出ることが望ましいことは論を待たないことです。

ではどうしてイナイイナイバーを見るとはしゃぎ反応がでるのでしょうか?
そのヒントは2ヵ月頃の人の顔を見てニコッと笑うことにあります。
実ははしゃぎ反応も呼吸の営みによって出るものなのです。
ええ!まさかと思われるでしょうが、はしゃぎ反応は深い腹式呼吸ができるようになることによって出る行動なのです。
赤ちゃんはイナイイナイを見つめている時息をつめてしまいます。そしてバーでホッとして息を大きく吐きます。この時に「アハハハハ」の声が出るのです。こうしたことからみつめる目がはしゃぎ反応をバックアップしていることがわかります。赤ちゃんがアハハハハハと声を出してはしゃぐ姿は、見る人を愉快にします。そこでもっとイナイイナイバーをして赤ちゃんと楽しく触れ合いたくなり、イナイナイバー遊びをくり返すようになります。

さて、赤ちゃんははしゃぎ反応からすばらしいことを学びます。大人は赤ちゃんが楽しいのではしゃぐのだと思っていますが、そうではなく赤ちゃんがはしゃぐことから人と触れ合うことは楽しいことであることを学ぶのです。
「アハハハハ」と声を出してはしゃぐことで赤ちゃんは息をたくさん吐いてたくさん息を吸うようになります。その結果、呼吸が深まります。
呼吸の深まりは快のコンディションをもたらします。この快のコンディションが人と触れ合うことは楽しいことであることを学ばせるのです。

一連の流れをまとめると次のようになります。
イナイイナイバーをじーっと見つめる→息がつまる→大きく息を吐く「アハハハハ」の声が出る→呼吸が深くなる→快のコンディションとなる→人と触れ合うことは楽しいことであることを学ぶ。この学びは貴重なものです。
それはパパとママと一緒に遊びたいという気持を育てるからです。ひいてはいろいろな人と触れ合いたいという気持を育むからです。
つまり、はしゃぎ反応は赤ちゃんに内面的な関わりが起ることによって出るものです。はしゃぎ反応のようすによって社会性が順調に発達しているか否かを判断することができます。

5~6ヵ月  愛着が育まれる

愛着が育まれると次のような行動がでます。
他の人に抱っこされている時,母親が接近すると、赤ちゃんが母親の方へ身体をのり出してきたり、母親がそばにいる時はご機嫌よく遊ぶのに、母親が立ち去ると途端に泣き出したりすようになります。
愛着とは母親に絶対的な信頼と限りない思慕をよせることで、母親をしっかり受け入れることによってでるものです。
もし赤ちゃんにこうした行動が出たら、母親が愛着を寄せる人として選ばれたことになります。
これまでの献身的なお世話や内面的な関わりが母親への愛着を育んだのです。

ところで愛着の育ちも、みつめる目がバックアップしています。
赤ちゃんはお世話をされたり、触れ合ってもらったりする度にお世話をしてくれたり、触れ合ってくれる人をみつめます。
そのみつめる目は、人を受け入れる窓口ですから、赤ちゃんにあやしてくれる人や触れ合ってくれる人と内面的な関わりが起ります。

この内面的関わりがくり返されることによって赤ちゃんの中に、お世話や触れ合いをしてくれる人を慕う気持が育まれていくのです。
母親が主たる養育者であることがほとんどですので、ほとんどの赤ちゃんは母親に愛着をよせるようになります。
ところであなたには心のよりどころとなる人がいますか。それは親ですか?友人ですか?伴侶ですか?人は思うほどに強いものではありません。世の荒波を乗り越えていくには支えとなる人が必要です。心のよりどころとなる人は支えとなる人です。
いくつになっても母親を心のよりどころとする人が多いですね。
赤ちゃんにとって愛着を寄せる人が心のよりどころとなります。赤ちゃんはこれからいろいろな事柄に挑戦しながら発達していきます。
その挑戦を支えるのが、心のよりどころとなる人です。これから発達を図るうえで、この時期に愛着が育まれることが必要なのです。甘えん坊になったの、ママべったりなのとこぼす母親がいますがそれで良いのです。

7~9ヵ月   人見分け(人見知り)

この時期になるとママを困らせる行動が出ます。それは一般に(人見知り)と称される行動です。人見分けは見なれた人と見なれない人とを見分けることによって出る行動です。みつめる目が一段と成長したのです。
人見分け(人見知り)は社会性の発達において出るものですので喜こぶべき行動です。
ママは対応に困るでしょうが、これは社会性の発達における通過点ですので、過ぎ去ることを待てばいいのです。人見分け(人見知り)は見なれない人と、見なれた人を見分けることができるようになることと、見なれない人を見た時、不安になることによって出るものです。
人見分け(人見知り)の行動には個人差があり、見知らぬ人を見て泣かないけれども、身体を硬くする赤ちゃんもいれば、大泣きをして母親にしがみつく赤ちゃんもいます。
ある赤ちゃんはおじいちゃんの顔を見た途端に泣いて母親にしがみつきました。
しがみついた後にもおじいちゃんが気になるのかチラッチラッとおじいちゃんを見ました。
そしてチラッと見ては大泣きをくり返しました。
この赤ちゃんの行動から、人見分け(人見知り)のバックには、みつめる目の働きがあることがわかります。

ところで、見知らぬ人を見た時の赤ちゃんの行動を一般に人見知りと称していますが、
私は赤ちゃんが見なれた人と、見なれない人とを見分けることによって出る行動ですから、この行動は人見知りというよりも人見分けと称することが適切であると考えます。
人見知りは幼児期以降にでるもので、見なれない人を見て嫌ったり、はにかんだりすることです。従って、人見知りと称することはこの時期の赤ちゃんにふさわしい言いまわしではありません。よって私は「人見分け」と称することを提唱します。

ところで、赤ちゃんは人見分けの試練をどのようにしてのりこえるのでしょうか。
赤ちゃんは見なれない人を見た時の不安や緊張は、愛着の人(母親)になぐさめられることによってのりこえていきます。
こう考えると、人見分けの前に愛着が育まれるという発達順序に感服させられます。

ところで、赤ちゃんはいずれ親の手元から離れてさまざまな人とつき合うようになります。さまざまな人とつき合って生きていけるように育てることが求められます。
人見分けは将来さまざまな人とつき合いながら生きていくことができるようになるトレーニングとみなすことができます。世の中には社交家タイプの人もいれば、人づきあいが苦手な人がいます。
実は、人見分けは年齢に関係なく出るものです。赤ちゃんのように泣いたり顔をかくしたりしませんが、誰しもが見知らぬ人には緊張したり、不安を覚えるものです。
その度合いに個人差があるだけなのです。
だから度合いが少なくてすむようになるために赤ちゃんの時期に愛着をしっかりと育んでおくことが大切なのです。

私は母親を主題にした演歌や浪曲を聞くと胸が熱くなります。
母親を主題にした歌は、愛着の賛歌のように思うからです。

8~10ヵ月 後追い

この時期になるとママべったりの行動がでます。それは後追いです。母親が視野から消えるとふるえるように泣いたり、母親の後を這って追うようになります。時にはトイレの中まで追いかけてきます。
後追いは愛着が育まれることによって赤ちゃんが愛着の人といつも一緒にいたい,愛着の人がそばにいないと不安になることによって出るものです。
まるで恋人を慕うようですね。ただ恋人との違いは、愛着の人が常にそばにいないと不安になることです。そこで安心を求めて後を追うのです。
ママ大好きという気持でママを追うのですから、こんなに嬉しいことはありませんね。赤ちゃんの気持に応えて、赤ちゃんがそばに来たら「ここにいるよ、大丈夫だよ」と言って、しっかりと抱っをしてあげたいものです。
大好きなママに抱っこをされたら赤ちゃんは天にも昇る心地になることでしょう。
赤ちゃんは後追いをするほどにママを求めているのですから、つとめて抱っこをしたり、遊んであげたりして、赤ちゃんの気持に応えてあげることが大切です。

後追いだけではなくこの時期になると赤ちゃんはかなりの時間、一人でも遊びますが、母親の存在を気にしながら遊ぶようになります。そして母親の方に視線を向けたり、遊んでいる最中に「ママー」と呼びかけるように「あーッ」と大きい声を出したりします。
母親が「ハーイ、よく遊んでいるね」などと応えると、赤ちゃんは安心して遊びを続けます。また、ごきげんよく遊んでいても、母親を見ると、赤ちゃんは「フェー」と甘えた声を出して両手を広げて抱っこをおねだりします。
こうした行動は愛着が育まれることによって出るものですから、赤ちゃんの甘えたい欲求に面倒がらずにおつきあいしてあげることが大切です。
後追いへの対応は愛着をより深めます。
むしろ後追いをしなくて手がかからない赤ちゃんの方が問題です。
赤ちゃんの時代は二度ときません。後追いされることを喜びとして赤ちゃんとしっかり向き合うことが大切です。
後追いでは、愛着の人をひたすら見つめながら後を追います。
こうしたことから、みつめる目が後追いをバックアップしていることがわかります

11~12ヵ月 ほめられることが分かる

この時期になるとまねっこ芸は最高となります。たとえば母親が「おつむテンテン」と言いながら頭を叩くと、即座に赤ちゃんは母親の仕草を真似して頭を叩きます。
その時母親が「上手ね」と拍手してほめると、赤ちゃんはニコニコしながら再び頭を叩きます。又、遊んだ後に母親が「お片づけしようね」と言って、散乱している玩具をおもちゃ箱にいれると、赤ちゃんは母親の仕草を真似して玩具を拾っておもちゃ箱にポイします。この時母親が「お利口ね」とほめると、赤ちゃんは再び玩具をおもちゃ箱に入れます。このように赤ちゃんはほめられると、ほめられたことを再びするようになります。
このようにほめられると赤ちゃんがニコニコしたり、ほめられたことを再びすることから、赤ちゃんにほめられることがわかるようになったことが伺えます。

ではどのようにしてほめられることがが分かるようになのでしょうか?
この時期は「上手ね」や「おりこうさん」というほめことばが理解できる時ではありません。実はほめる人のなごやかな表情や嬉しそうなまなざしから、ほめられることを学びます。

ほめる人の表情はというと、なごやかな表情をして目は笑っています。又、口元も笑っていて、声はやさしいです。
赤ちゃんはこうしたなごやかな表情や笑っているまなざしから、普段の対応とは異なることを察知します。なごやかな表情と笑っているまなざしは、赤ちゃんにとって快い刺激です。

快い刺激は赤ちゃんを心地よくします。この心地よさが赤ちゃんにほめを学ばせるのです。ほめると赤ちゃんが同じことをくり返すのは、ほめられると心地よくなるからです
このように、ほめる人の表情とまなざしをみつめることによってほめを学ぶことから、みつめる目がほめの理解をバックアップしていることがわかります。

また、赤ちゃんはほめられると同じことをすることから、人と関わりたいという気持を持っていることが推察できます。人はいくつになってもほめられると嬉しいものです。大人になってもほめられるともっと頑張ろうという気持になりますが、それは赤ちゃんも同様です。

11~12ヵ月 𠮟られることが分かる

この時期になると好奇心が旺盛になるのでいたいたずらが一層盛んになります。
たとえばタンスの引き出しをあけて、引き出しの中の物を引っぱり出したり、財布をいじったり、ティッシュペーパーの箱から中味を引き出したり、リモコンをさわったりといたずらをします。そこで出る言葉が「ダメ・いけません」です。
赤ちゃんにしてみれば興味の向くままにやっているだけなので「ダメ・いけません」
といわれるとハッとたじろきます。
たじろいて人を見るとそこには怖い表情とにらみつける目があります。
怖い表情とにらみつける目は、赤ちゃんにとって不快な刺激です。赤ちゃんはとまどって泣きます。そしてこれは普段の対応とは違うことを察して、手を止めます。
そこでいたずらを止めます。こうしたことをくり返し体験することで、叱られることがわかるようになっていきます。
けわしい表情とにらみつける目をみつめることによって叱られることを学ぶのです。ほめと同様にみつめる目が叱られることの理解をバックアップしているわけです。

この時期、赤ちゃんはまだ善悪の判断はできません。そこでさわってはいけない物に手を出した時には「ダメ・いけません」の躾をしなければなりません。赤ちゃんはやりたいことを中止させられるので泣きますが、こうした躾をくり返していると「ダメ・いけません」と言われただけで行動を中止するようになります。つまり、叱られることが分かるようになるのです。善悪の判断ができない時の躾で大切なことは、赤ちゃんをじーっとみつめながら「ダメ・いけません」を言うことです。なぜなら赤ちゃんはみつめる目で「ダメ・いけません」の躾を受け入れるからです。
つまり、みつめる目が「ダメ・いけません」のしつけの言葉を受け入れることをバックアップしているのです。

さて、赤ちゃんは好奇心のかたまりです。好奇心のおもむくままに「これは何かな?あれは何かな?」の探索をします。そこで出るのがしてはいけないことをすることです。
時には危険なこともします。そこで「ダメ・いけません」の躾が必要となります。
赤ちゃんはやりたいことが止められ、その上叱られるのでひと泣きします。
では泣かせるのは可哀そうだから「ダメ・いけません」をしない方が良いのでしょうか。
いいえ「ダメいけません」の躾はしければならないものです。

なぜなら、赤ちゃんにはしてよいことと、してはしてはいけないことの分別ができないからです。分別ができないから、していいことと、してはいけないことの躾が必要なのです。赤ちゃんは躾されるからしていいことと、してはいけないことを学ぶことができるのです。泣くからという理由てこの学びの機会を与えないことは不幸なことです。
躾されることによって赤ちゃんは自分で身をまもることができるようになります。

ところで社会生活をする上で求められることは、ルールを守ることです。
子供も幼稚園に通うようになれば、集団生活のルールを守らなければならなくなります。社会生活においては、ルールとしてしてよいことと、してはいけないことが定められています。そこで幼稚園に通うようになると、社会的なルールも学ぶようになります。
こうした学びをとおして5~6才頃には善悪判断ができるようになります。

こう考えると「ダメ・いけません」の躾は、善悪判断の心を育むための第一歩であることがわかります。
「ダメ・いけません」の躾で大切なことは、決して𠮟りっぱなしにしないことです。
赤ちゃんが「ダメ・いけません」の躾を受け入れたら「おりこうね」としっかりほめることが大切です。「ダメ・いけません」の躾で泣いたとしても、ほめることで涙は帳消しとなるからです。また、叱ったら赤ちゃんに嫌われてしまわないかと心配する必要はありません。叱られてもそれ以上にほめることによって、内面的な関わりが起りますので絆が一層深まります。

11~12ヵ月 表情やまなざしを読む

赤ちゃんはなごやかな表情や嬉しそうなまなざしからからほめられることを学び、けわしい表情やけわしいまなざしから叱られることを学びます。
こうした学びができるのは、この時期になると赤ちゃんが表情やまなざしを読むことができるようになるからです。
この表情やまなざしを読む力は月日をかけて育まれるものです。

赤ちゃんが初めて人の表情に反応するのは3~4ヵ月頃で母親の「イナイイナイバー」を見た時です。
赤ちゃんは「イナイイナイバー」で母親の顔が見えたり、隠れたりする様子を見て笑ってはしゃぎます。「イナイイナイバー」は普段の表情と違って、特異な表情ですので赤ちゃんをひきつけるのです。

さて、赤ちゃんは人の表情を見ながら育ちます。たとえば、笑い顔あり、泣き顔あり、悲しい顔あり、愛想の良い顔あり、愛想の悪い顔あり、すました顔あり、ふざけた顔ありなどさまざまなな表情を見ながら育ちます。

また、まなざしもさまざまです。たとえば、優しいまなざしあり、泣いてまなざしあり、怒ったまなざしあり、喜んだまなざしあり、驚いたまなざしありで様々なまなざしを見ながら育ちます。
さまざまな表情やさまざまなまなざしを見ることによって、赤ちゃんの中に表情やまなざしを読む力が育まれるのです。

たとえば、6ヵ月頃には母親がおどけた顔をすると身体をゆすります。
7ヵ月頃には母親がにらみつけたり、母親が怖いお面をかぶると大泣きをします。
8ヵ月頃にはとても大きい熊のぬいぐるみを見ると身体を固くします。
9ヵ月頃には母親が笑うとつられて笑うようになります。
このように赤ちゃんの中に表情を読む力が月日と共に育まれていきます。

次にまなざしですが、愛着が育つと赤ちゃんは何かにつけ、母親の方を見るようになります。その時、母親がみつめかえすと安心します。
8ヵ月頃、スズをふって音が出ると「オーオー」と声を出して、「音がするよ」と言わんばかりのまなざしを母親に向けます。
即座に母親が「いい音が出たね」といわんばかりのまなざしを返すと赤ちゃんは納得します。また、救急車のサイレンの音がすると、「ピーポーの音がする」といわんばかりのまなざしを母親に向けます。母親が「救急車の音がするね」といわんばかりのまなざしを返すと、赤ちゃんは納得します。こうしたまなざしを介しての交流がくりかえされることによって、赤ちゃんの中にまなざしを読む力が育まれていきます。

みつめる目が表情やまなざしを読むことをバックアップしているのです。

所長より

私は60年余り幼児の障害児教育に携わってきました。

 

さまざまな障害児の療育に取り組みながら、乳幼児の発達について考察、問題に対する適切な対処の仕方を現場での実践を通じて学んできました。

 

目が合わない、話しかけても反応しない、何かのきっかけでパニックを起こす等は自閉傾向のサインです。

 

赤ちゃんの発達について悩まれたらお気軽にご相談ください。

 

「アイコンタクト子育て支援研究所にじのわ」では、子育て全般に関する相談を行っています。

 

発達障害や自閉傾向のお子さんの療育・相談は「こども発達支援ホームいわしろ」で受付けています。

 

どちらもお問合せは「こども発達支援ホームいわしろ」に、お気軽にお電話ください。

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